要注意のところ

避けたい!液状化や地盤沈下の可能性があるところ?【2024年1月更新】

近年、日本のいたるところで地震が発生しています。

地震の被害と言えば、倒壊や津波がすぐに思い浮かびますが、地盤の液状化現象による被害も大きな被害のひとつです。

このページは、2024年1月に発生した能登半島地震を受けて、改めて更新しました。

液状化は、1995年の阪神大震災で1266ヵ所、2016年の熊本地震で1980ヵ所、そして、東日本大震災では8600ヵ所で発生したそうで、
2024年の能登半島地震では、調査途中の2024年3月現在で1724ヵ所被害が発生していると報道されています。

液状化現象の被害

液状化現象の被害では、東日本大震災(2011年)の時の千葉県浦安市や、北海道胆振東部地震(2018年)での被害が有名です。
そして、2024年1月に発生した能登半島地震でも液状化が起きました。

液状化現象は、道路が凹んだり波打ったり、アスファルトはめくれ上がり、マンホールや水道管が飛び出て、建物も傾く・・。

被害が分かる写真で伝えたいところですが、個人のお宅の写真になってしまうので貼りません。

どんなだったかを確認しておきたい方は、
「液状化現象」「浦安市 液状化」「胆振地震 液状化」
と検索していただきますと、被害の状況の様子をご覧いただけると思います。

液状化現象はなぜ起こる?

ちょっと難しい話なのでここは飛ばしていただいても結構です。
(この次に、液状化の可能性があるところを避けるための話を書いています)

地盤は、土の粒が摩擦の力などで支え合って安定を保っています。
そして、土の粒の間は、地下水が満たしています。

地震などの振動で保たれていた安定が崩れ(剪断応力の減少)、水圧は増加し、地盤は耐力を失って柔らかくなり(液状化)、その結果、建物が埋もれたり、地中にある比重の小さいもの(水道管等)が浮き出てきたりするのです。

液状化の可能性があるところを避けるためにできること

液状化しやすい地盤、地盤沈下しやすい地盤は、地下水が地表面に近いところです。

なので、以下のようなところは液状化する可能性が高いので、できるだけ避けるべきです。

  • 埋立地
  • 昔の川のあと
    (蛇行していた川は、真っすぐに付け替えられていることがあります)
  • 昔の池や沼のあと
    (埋め立てて、宅地化されていることは多々あります) 

この液状化する可能性が高いところを避けるための手軽な方法として、昔の地図を確認するというのがあります。

昔の堺と比べてみると

能登半島地震で液状化した新潟市西区は、川の埋め立て地を住宅地にしていたとのこと。
浦安市の液状化したところは、「埋め立て地」として整備してから50~60年が経ったエリアだったそうです。

ということで、「50~60年前の堺」と「今の堺」を地図を使って見比べてみましょう。

50~60年前の深井駅周辺

【今昔マップに緑色の点線を加筆】

今から50~60年前、1967~1970年頃、深井には池がたくさんあったんですね。
その池だったところが、今ではいくつか埋め立てられています。

そういえば「深井」という地名からも、水と関わりが深そうな感じがします。
深井は、奈良時代の高僧の行基が深い井戸を掘ったことで、人々の生活が豊かになったことから「深井」と呼ばれるようになったとのことでした。
 参考:堺市HP「地名の由来が知りたいんだけど?」

話を、地図を使った地盤確認に戻します。

さらに昔の堺も見てみましょう。

戦後数年の堺東駅周辺

第二次世界大戦で堺は大きな被害を受けました。
その数年後にあたる1947~1950年頃の堺東周辺と、今の堺東周辺を見比べます。

【今昔マップに緑色の点線を加筆】

70年以上前を比べると、少し池を埋め立てているところがありますが、さほど目立った違いはないようです。
池を埋め立てたところ(緑色の点線部分)は、今は公園やテニスコート、URの集合住宅になっています。

戦後数年の津久野周辺

【今昔マップに緑色の点線を加筆】

1947~1950年頃の津久野周辺を見ると、今では緩やかなカーブを描く石津川が、昔は蛇行していたことがわかります。

石津川は、川の形を整えられたようなので、
「昔の川のあと」に該当するところがあるということです。

よく見比べると、現在の道の形には、ところどころに昔の川の跡が残っていますね。

昔の地図を見るには

今昔マップon the web

昔は何があったのか、どんな土地だったのかを見るには、
時系列地形図閲覧サイト「今昔マップon the web」
がとても便利です。
(※宣伝しても私には何か得になるものでありません。ただ便利なのでお知らせしてるだけです)

「今昔マップ on the web」は、埼玉大学教育学部の谷 謙二さん(人文地理学研究室)が作成されたもので、全国59地域について明治期以降の新旧の地形図を切り替えながら表示できます。
なんと、収録した旧版地形図は、4,847枚にのぼるとのこと。

今昔マップon tha web の使い方

まず、今昔マップ on the web にアクセスします。

京阪神を選ぶと、大阪市が表示されますので、堺をご覧になるときは、堺市まで地図を動かしてください。

地図表示は、1画面表示、2画面表示、4画面表示を選ぶことができます。

また、どの年代の地図を見るかを選ぶと、見たい年代の地図が表示されます。

引っ越し先を探している方が気になるエリアを見つけたときは、

液状化現象や地盤沈下の可能性を少しでも避けるためにも、

  • 埋立地
  • 昔の川のあと
  • 昔の池や沼のあと

でないかどうか、このサイトでぜひ確認してみてください。

追記:液状化現象のあった地域のその後

東日本大震災の発生から10年が経った頃、千葉県浦安市で液状化の被害を受けた地域がどうなっているのかについて、メディアで取り上げられていました。

地区ごとの全戸合意を条件に、対策工事が行われたそうです。

つまり、反対される家が1件でもあった地区では、対策工事は行われなかったとのこと。

「対策工事をしてもらいたかったのに、地区内に反対される方がいて、対策工事が叶わなかった」
「でも、個人で液状化現象の対策工事をしようとすると、数千万円といった多額の費用が必要になる」
ということもあったようで、住民の方々の複雑な状況がうかがえました。

このエリアの方は、情報が少なかったころに家を購入された方がほとんどだと思います。
地震・台風・竜巻・豪雨など、最近はいろいろな天災による被害が出るようになり、自治体のハザードマップもどんどん充実してきてました。
それでも、この先きっとまた「●年に一度の~」というような天災が起きるでしょう。
住まいは、自分や家族、生活を守ってくれるものです。
全ての人が、少しでも強い住まい・強いエリアで暮らせるようになれば、と思います。