コラム

堺市 治安マップ【2024年】

これから住むまちについて確認しておくべきことは、最低限、次の3つです。

  • 利便性:自分の暮らしに必要なもの(店・交通・学校など)はあるか
  • 治安:安心して暮らせそうか・嫌な印象はないか
  • コスト:どんなコストがかかるか(税金、保険料、指定の有料ゴミ袋など)

ここでは、【治安】について見ていきましょう。

なお、確認すべきこと3つのうち、【利便性】【コスト】は以下からどうぞ

【堺の利便性について】↓

【堺での生活コストについて】↓

堺って…実は大阪府全体よりも治安が良い!

犯罪率を見ると、堺市は大阪府全体よりも治安は良いとはっきり言えます。

  • 大阪府:0.78%
  • 大阪市:1.22%
    【犯罪率が大阪府全体より高い】
  • 堺 市:0.63%
    【犯罪率が大阪府全体より低い】

・資料(犯罪件数):大阪府警公表 2022年1月~12月刑法犯罪種及び手口別発生市区町村別認知件数
・資料(人口):国勢調査 2020年

住む地域の治安は、良いに越したことはありませんし、堺市の中でも、時間帯によっては治安が良くないように感じるところがあります。

このページは

  • 治安がいいまちの選び方
  • 治安マップ
  • 治安マップと、犯罪の実際の発生場所の比較
  • まちの将来をイメージする方法
  • 他の市との治安の比較

ということを書いてみました。

ボリュームが多いですが、ひとつでも参考にしていただけたらとても嬉しいです。

治安の良さとは

治安が良い地域とは、犯罪がないのはもちろんですが、

  • 不審者がいない
  • 酔っ払いがいない
  • たむろする人や騒ぐ人がいない

このような地域だと思いますし、
このような地域であれば、引ったくりや盗難、痴漢といった犯罪だけでなく、喧嘩などの物騒なことも起きにくいでしょう。

したがって、治安が良いところとは

  • 繁華街ではない
    (飲み屋、カラオケ、パチンコ屋、ゲームセンターなどがない)
  • 住民以外の人がいたら違和感がある
  • たむろしたり集まったりできる場所がない
    (駐車場があるような店舗などがない)

ところとも言えるでしょう。

(街灯がきちんと設置されていることも必須ですが、堺市内は街灯は概ねちゃんと設置されてます。防犯カメラも街路灯に設置されていたりします)

治安がいいエリアの選び方

治安がいいまちとして、

  • 不審者がいない
  • 酔っ払いがいない
  • たむろする人や騒ぐ人がいない

こういったまちを選ぶ。

つまり、

  • 繁華街ではない
    (飲み屋、カラオケ、パチンコ屋、ゲームセンターなどがない)
  • 住民以外の人がいたら違和感がある
  • たむろしたり集まったりできる場所がない
    (駐車場があるような店舗などがない)

を選ぶには、ちょっとした方法があります。

その方法とは、

建物の用途によって、建てても良い地域、建てられない地域がルール化されているので、その用途と地域のルールを見てみる

ということです。

このルールを「用途地域」といいます。

たとえば、一般的なコンビニもつくれない地域、大きな店舗が作れる地域などがルール化されており、用途地域の種類は、13種類に分けられています。

用途地域の種類によって建てられる建物が変わるので、治安に大きく影響してくるのです。

そこで当サイトでは、用途地域の分類を治安のひとつの基準として扱うこととし、堺市全体の用地地域をつかって「治安マップ」を作りました。

マップを使って治安をイメージしてみましょう

用途地域 全13種類のうち、堺市に適用されているのは「田園地域」を除く12種類です。

そのうち、工業系以外の9の地域を、最も制限が厳しい「第一種低層住居専用地域」から、最も繁華街になる「商業地域」まで順に並べました。

なお、工業系の3地域のうち、「工業専用地域」は、工業地帯に適用されているような用途地域で、住宅を建てることはできません。

また、用途地域が定められていない地域は「市街化調整区域」で、「市街化しないようにする地域」となっています。

※用途地域の内容説明は、国土交通省サイトより抜粋
※用途地域の図は、国土交通省国土数値情報ダウンロードサービスのオープンデータから作成(2022年9月)

表の右端の矢印、濃い青緑の「住宅街」からピンクの「繁華街」までは、
「住宅街」の方が治安がよく、「繁華街」に近づくほど治安の良さは損なわれやすい、というイメージ
です。

つまり、
もっとも治安が良いのは、濃い青緑で塗られた「第一種低層住居専用地域」、
もっとも「治安が良くない」と感じやすいのはピンク色の「商業地域」

です。

(これが実際の犯罪発生状況とだいたい合う事実は、後ほどご紹介します)

工業地域の3地域は判断しづらいので、治安の良さについては何とも言えません。

色のないところは「市街化調整区域」と言い、
市街化しないようにする地域(繁華街にならないようにしたり、どんどん建物が建つのを防いだりする地域)
なので、
「住民や用事がある人しかいない」=治安が良い面
「人通りや建物も少なく、防犯カメラも少ない」=治安が良くない面
の両方があるでしょう

治安マップと、犯罪の実際の発生場所を比べてみる

用途地域から作った治安マップを、堺市の実際に犯罪があった場所(※)を示した地図と比較してみます。

※アイコンの位置は、発生地付近を示すもので、発生地点そのものではありません。

大阪府警の「安まち」というアプリを使います。
2022年までは大阪府警が公開していた「犯罪発生マップ」が使いやすかったのですが、運用が終了したようです。
ということで、「安まち」から取得した画像をもとに比べてみます。

比べると、用途地域から作った治安マップが、ある程度は的を得ていることを感じていただけると思います。

犯罪発生地点の付近を、青・黄緑・ピンク・黄色のマークで示しています。

 青…引ったくり
 黄緑…子ども被害情報
 ピンク…女性被害情報
 黄色…路上強盗

堺市中心部の犯罪マップ【2023年度 上半期(4/1~9/30)】

下の図は、2023年4月1日~9月30日に発生した犯罪を表しています。

女性被害情報(ピンク)や引ったくり(青)は図の左上に多く、子ども被害情報(黄緑)は、点々と起きているという感じです。
どちらかというと駅の近くで起きていることが多いような印象です。

犯罪マップに治安マップを重ねます

先ほどの、堺市中心部の2023年度 上半期の犯罪マップに、治安マップを重ね合わせてみました。

治安マップの用途地域の色を透き通らせて重ねたので、少し見えにくいかもしれませんが、、、

犯罪が発生しているのは、ピンクや黄系に色塗られた地域が多く、
緑色系に色塗られた地域は、あまり犯罪が発生していないことが分かります。
※特に、女性被害(ピンク)や、引ったくり(青)

子ども被害(黄緑)についても、どちらかと言うとピンク色に塗られた地域の近くで起きている傾向あります。

つまり、「用途地域と治安は関係している」=「どんな建物があるかが地域の治安に大きく影響している」ことがお分かりいただけたかと思います。

犯罪マップを見ても、堺の犯罪が多いのかどうかまでは判断し難いので、
このページの下部(サブタイトル「追記:大阪府内の他のところの犯罪マップ」)に、他の地域の犯罪マップの画像を張り付け、ちょっと偏見がある考え方ですが、所感を述べています。
参考にしてみてください。

治安に影響する建物があるか…詳細を見る

治安に影響しそうな建物は建つのか、どんな地域なのか、どんな人に向いている地域なのか、それぞれの用途地域がどんな地域なのかをひとつずつ見ていきましょう。

「こういう地域がいいな」というところがあれば、治安マップで当てはまるところがどのあたりにあるか、ぜひ見てみてください。
※第二種低層専用住宅地域と準住居地域は、堺市内ではほとんどありません。
 2022年9月時点で、第二種低層専用住宅地域は約20ha、準住居地域は約1.9haです。

第一種低層住居専用地域:静かでゆったりとした環境

建物を建てられる高さが10mや12m等に制限されているので、戸建や低層マンションがメインの地域です。

店舗は、50m2以下の床面積に制限されており、一般的なコンビニは建てられません。建ぺい率が低めに定められていることが多いため、庭付き住宅が多く見られます。

家のすぐそばにコンビニというような便利さには欠けますが、もっとも静かで穏やかな雰囲気な地域です。

便利さよりも環境重視の方に向いている地域です。

第二種低層住居専用地域:閑静な環境と、多少の利便性がある

こちらも、建物を建てられる高さが10mや12m等に制限されているので、戸建や低層マンションがメインの地域です。
一方、床面積150m㎡までの店舗がの建築が可能になるため、一般的なコンビニ等が建てられます。

静かで穏やかな雰囲気がありながら、少しの店舗もある地域です。

第一種中高層住居専用地域:ある程度の静かな環境、生活の利便性がある

店舗では、2階建以内で床面積500m2以下の店舗が建てられます。幼稚園~大学などの教育施設、病院、図書館を建てることができるので、生活はかなり便利になります。
住宅は建物の高さ制限がなく、マンションなどの中高層住宅を建てるための地域です。

低層戸建がメインの地域に比べると人通りが多くはなりますが、ある程度の静かな環境と利便性が両方ある地域です。

第二種中高層住居専用地域:中規模の商業施設が可能で、生活利便性が高い

第一種中高層住居専用地域よりもさらに大きな店舗を建築することが可能な地域です。

マンションなどの中高層住宅を建てるための地域で、かつ、利便性を求める人が多く集まりやすい地域だからか、スーパーに行っても、お惣菜や冷凍食品が充実した商品展開になっていることが多い印象です。

第一種住居地域:利便性を重視できる

住宅とともに、店舗(3000㎡まで)・事務所・ホテルなど、いろいろな建物が並ぶ地域です。

住居の環境を保護するための地域ではありますが、閑静な住宅街というより、利便性重視の地域です。

第二種住居地域:にぎやかな街

ボーリング場やスケート場、床面積10,000㎡以下であればパチンコ屋さんやカラオケボックスが建てられる地域です。

用途地域の定義が「主として住宅の環境を保護するため定める地域」なので、一定の住環境は守られる地域ではありますが、静かな環境よりも、遊べる環境に住むことを重視する方に向いているでしょう。

準住居地域:車移動がメインの方におすすめの地域

大きな道路の沿道に定められる地域で、「道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域」と定義されています。
建物の種類では、客席部分200㎡未満の劇場や映画館を建てることが可能です。

住居の環境の保護とともに、自動車関連施設の利便も図る地域なので、車移動がメインの方に向いているでしょう。

近隣商業地域:利便性と娯楽性を求めることができる地域

店舗や事務所、劇場や映画館などに床面積の制限がなくなります。利便性が高い一方で、人や車の往来が多いため、にぎやかな街です。

近くの住民が日用品の買い物などをするための地域なので、利便性重視の方におすすめしやすい地域です。

商業地域:にぎわいのある地域

商業地域の定義は、「商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」とされており、商業ビルやオフィスビル・飲食店などが集中する地域で、ターミナル駅の周辺などが指定されることが多いです。
風俗施設の建築も認められています。

にぎわいを生み出す地域なので、騒々しくなりがちな地域ですが、まちなかでの暮らしを求めている方にはおすすめできます。

※「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」は割愛します。

治安だけではない!用途地域からまちの将来もイメージできます

例えば隣が空地になったとき、
「新しく高い建物が建って日陰になったらいやだな」
とか
「敷地ギリギリまで建物になって、風通しが悪くなるかも」
と心配になることもありますね。

そういうリスクにも、用途地域をチェックすれば、ある程度イメージできるのです。

たとえば、第一種低層住居専用地域であれば、建ぺい率もゆとりを持った低層の住宅が建つ可能性が高いです。もし、第一種住居地域だと、敷地をしっかり使ってマンションが建つ可能性もあります。

用途地域を確認することで、さらに、自分に合うまちを選びやすくなりますので、ぜひチェックしてみてください。

堺市の用途地域に関する情報は、市ホームページでも公開されています。



追記:大阪府内の他市の犯罪マップ

2023年年度 上半期の犯罪マップから、大阪市の様子を見てみましょう。
中心部の難波・心斎橋、住宅地として人気の阿倍野区・天王寺区、東成区です。

この図は、堺市と同じ縮尺なのですが、犯罪発生マークの数が急増しています。
範囲を広げたのではありません。同じ縮尺、同じ広さなのに、これだけ多くの犯罪が起きています。
他の犯罪マークで埋もれて見えにくいですが、堺では見られなかった、路上強盗(黄色)もあります。

このあたりは、近年、タワーマンションが増加し、子どももたくさん住んでいる地域です。
人によって価値観はそれぞれですが、子どもをこういう地域に住ませたくないなと思います。

ここから先は、かなりの偏見だと自覚しつつ、あえて文字にします。

同じマークでも、堺市と大阪市の犯罪の詳細を見ていくと、ちょっと雰囲気が異なります。

例えば、女性被害情報。
大阪市中心部では、そのほとんどが「女性被害(盗撮等)」「痴漢」「公然わいせつ」という内容です。

堺市ではこういった被害もありますが、「不審者情報」が多いです。
「かわいいね、と声を掛けられた」「連絡先を交換してくれ、と声を掛けられた」というような「不審者情報」です。
突然、知らない男に声を掛けられて、本当に怖かったことと思います。
堺市内では「不審者情報」として通報する方が多いということです。

ですが、ミナミの真ん中で、知らない男から「かわいいね」とか「連絡先を交換してくれ」と言われた時、逃げて終わりにしてしまって、警察に届けない人も多いのではないでしょうか。

実際に私は、大阪市内であれば、つきまといながら大きな声で卑猥な言葉を浴びせてくる男がいても、逃げて終わりにしてきました。

同じマークでも、被害の内容が違うので、単純に件数だけでは比較できません。

そう思うと、
「知らない男から声を掛けられたら、危険なことと判断して警察に言う」
「下半身を露出している男がいたら、警察に言う」
という行動を起こせる地域は、
「危険なことを容認しない、ゆるさない」ということでもあり、「警察に言えば対処してくれる」という信頼感でもあり、
みんなで安全安心を守れる地域なんだと改めて感じました。