コラム

堺市 治安マップ【2025年】

【これから住むまち】について前もって確認すべきことは、最低限、次の3つです。
利便性:自分の暮らしに必要な機能があるか(店・交通・学校など)
治安:安心して暮らせそうか・嫌な印象はないか
コスト:どんなコストがかかるか(税金、保険料、指定の有料ゴミ袋など)

ここでは、この3つのうちから【治安】について見ていきましょう。
なお、確認すべきこと3つのうち、【利便性】【コスト】は以下からどうぞ

堺の利便性について】↓

堺での生活コストについて】↓

犯罪発生率 比較:実は意外と治安が良い!

2024年1月~12月の犯罪発生率を見ると、堺市は大阪府全体よりも治安は良いとはっきり言えます。
2024年1月~12月の犯罪発生率
 大阪府:9.19
 大阪市:14.54
  【犯罪率が大阪府全体より高い
 堺 市:7.49
  【犯罪率が大阪府全体より低い

堺市内の犯罪発生率には差があり、堺で最も高い区は堺区で9.13、低い区は東区で5.46です。
堺市内で最も犯罪発生率が高い堺区であっても、大阪市内で治安が良さそうなイメージの住吉区(高級住宅街の帝塚山がある)の9.47より犯罪発生率は低いです。

ちなみに、治安が良くないと言われている門真市は12.62、治安が良いと言われている箕面市は5.93でした。

参考に、2024年1月~12月の犯罪発生率を掲載します。
※犯罪発生率:市町村別人口1000人当たりの犯罪発生状況

  • 大阪府全体:9.19
     
  • 堺市全体:7.49大阪府全体、大阪市、門真市より低い
  • 堺区:9.13(堺市内で最も犯罪発生率が高い)
  • 中区:7.46
  • 東区:5.46(堺市内で最も犯罪発生率が低い)
  • 西区:8.49
  • 南区:5.74
  • 北区:7.84
  • 美原区:7.07
     
  • 大阪市全体:14.54
  • 北区:35.77(高い!
  • 中央区:58.79(特に高いです!
  • 住吉区:9.47(帝塚山など治安が良いイメージですが堺区より高い
     
  • 門真市:12.62一般的なイメージ通り犯罪発生率は高め
  • 箕面市:5.93とても良いですが、堺市東区・南区の方が良い

・犯罪発生率:市町村別人口1000人当たりの犯罪発生状況
・犯罪件数資料:大阪府警公表 2024年1月~12月刑法犯罪種及び手口別発生市区町村別認知件数
 大阪府警犯罪 統計 https://www.police.pref.osaka.lg.jp/seikatsu/hanzai/17666.html
・人口資料:国勢調査 2020年
 (国勢調査が5年に1回の実施のため、2020年の調査データを使用)

他の市のことも書いたので少し長くなってしまいましたが、犯罪発生率で見ると堺市の治安は良いものの、堺市の中でも治安には差があるということが分かりました。

このページは

治安がいいまちの選び方
治安マップ
治安マップと、犯罪の実際の発生場所の比較
まちの将来をイメージする方法
他の市との治安の比較

ということを書いていますので、
ボリュームは多いですが、ひとつでも参考にしていただけたらとても嬉しいです。

治安の良さとは

治安が良い地域とは、犯罪がないのはもちろんですが、

不審者がいない
酔っ払いがいない
たむろする人や騒ぐ人がいない

というこのような地域だと思いますし、
このような地域であれば、引ったくりや盗難、痴漢といった犯罪だけでなく、喧嘩などの物騒なことも起きにくいと思います。


したがって、治安が良いところとは

繁華街ではない
(飲み屋、カラオケ、パチンコ屋、ゲームセンターなどがない)
住民以外の人がいたら違和感がある
たむろしたり集まったりできる場所がない
(駐車場があるような店舗などがない)

という所である、とも言えるでしょう。

※街灯がきちんと設置されていることも必須ですが、堺市内は街灯は概ねちゃんと設置されてます。防犯カメラも街路灯に設置されていたりします。

治安がいいエリアの選び方

治安がいいエリアを選ぶことは、

不審者がいない
酔っ払いがいない
たむろする人や騒ぐ人がいない


こういったエリアを選ぶことです。


つまり、

繁華街ではない
(飲み屋、カラオケ、パチンコ屋、ゲームセンターなどがない)
住民以外の人がいたら違和感がある
たむろしたり集まったりできる場所がない
(駐車場があるような店舗などがない)

を選ぶことであり、それには、ちょっとした方法があります。

その方法とは、
治安が悪くなりそうな建物が少ないエリアを選ぶ
地域ごとに、建てても良い建物、建ててはいけない建物のルールがあるので、そのルールを見る
ということです。

このルールを「用途地域」といいます。

たとえば、一般的なコンビニもつくれない地域、大きな店舗を建てても良い地域などがルール化されており、用途地域の種類は、13種類に分けられています。

用途地域の種類によって建てられる建物が変わるので、治安に大きく影響してくるのです。

そこで当サイトでは、用途地域の分類を治安のひとつの基準として扱うこととし、堺市の用地地域をつかって「治安マップ」を作りました。

マップを使って治安をイメージしてみましょう

こちらがマップです

「その地域に建てて良い建物のルール」として紹介した「用途地域」は 、地域を13種類に分類しています。
それを地図にしたものがこちらの図です。

マップの見方

堺市では、12種類の用途地域があります。
※本来の用途地域は13種類ありますが、堺は「田園地域」がないため12種類

住宅を建てることができる9地域と、工業系3地域に分けて
最も制限が厳しい「第一種低層住居専用地域」から、
最も繁華街になる「商業地域」まで
順に並べました。

表の右側の矢印の色が、
緑色が濃いほど治安が良くなりやすく、ピンクになるほど治安は損なわれがち
(住宅街よりも、繁華街に近づくほど治安は損なわれがち

というイメージです。

つまり、
もっとも治安が良いのは、濃い青緑で塗られた「第一種低層住居専用地域」、
「治安が良くない」と感じやすいのはピンク色の「商業地域」

です。

これが実際の犯罪発生状況とだいたい合致する事実は、後ほどご紹介します。

なお、色のないところは「市街化調整区域」と言い、
市街化しないようにする地域(繁華街にならないようにしたり、どんどん建物が建つのを防いだりする地域)
なので、
「住民や用事がある人しかいない」=治安が良い面
「人通りや建物も少なく、防犯カメラも少ない」=治安が良くない面
の両面があるでしょう

補足:工業地域の3地域は判断しづらいので、治安の良さについては何とも言えません。「工業専用地域」は、工業地帯に適用されているような用途地域で、住宅を建てることはできません。

※用途地域の内容説明は、国土交通省サイトより抜粋
※用途地域の図は、国土交通省国土数値情報ダウンロードサービスのオープンデータから作成(2022年9月)

治安マップと、犯罪の実際の発生場所を比べてみる

ここでは、用途地域から作った治安マップを、堺市の犯罪発生場所を示した地図と比較してみます。
用途地域と犯罪発生の関係(用途地域がピンク色は犯罪が多い)を感じていただけると思います。

犯罪発生地点の付近が、紫・黄緑・ピンク・黄色のマークで示されています。
 紫…引ったくり
 黄緑…子ども被害情報
 ピンク…女性被害情報
 黄色…路上強盗

堺市中心部の犯罪発生場所マップ【2024/1/1~12/31)】

まずは、犯罪発生場所を地図で見てみましょう。
下の図は、2024年1月1日~12月31日に発生した犯罪を表しています。
※アイコンの位置は、発生地付近を示すもので、発生地点そのものではありません。

※犯罪マップは、大阪府警の「安まち」というアプリから作成しました。
※アイコンの位置は、発生地付近を示すもので、発生地点そのものではありません。

犯罪発生場所マップに治安マップを重ねます

犯罪発生場所マップに、治安マップを重ね合わせてみました。
上から、2024年、2023年上半期、2022年の3種類です。

※2024年と2023年上半期は、重ねる作業の簡素化のため、市の中心部のみです
※小さい地図をつなぐ作業をしているので、年によって地図の大きさが異なるのはご容赦ください

治安マップの用途地域の色を透き通らせて重ねたので、少し見えにくいかもしれませんが、、、

犯罪が発生している地点は、ピンクや黄色に塗られた地域が多く
(繁華街になるほど犯罪は発生)、
濃い緑の地域は、ピンクや黄色よりも犯罪が少ない
(住宅以外の建物を制限するほど犯罪が少ない)

ということが可視化されました。

子ども被害(黄緑)についても、どちらかと言うとピンク色に塗られた地域の近くで起きている傾向がありますね。

【用途地域と治安は関係している】
【どんな建物があるかが地域の治安に大きく影響している】
ことがお分かりいただけたかと思います。

この犯罪発生場所マップでは、「他の市と比較して、堺が安全なまちである」ということが伝わりにくいので、
このページの下部(サブタイトル「追記:大阪府内の他のところの犯罪マップ」)に、他の市の犯罪マップの画像を張り、ちょっと偏見がある考え方ですが、所感を述べています。
参考にしてみてください。

治安に影響する建物があるか…詳細を見る

治安に影響しそうな建物は建つのか、どんな人に向いている地域なのか、
【それぞれの用途地域がどんな地域なのか】を見ていきましょう。

ここでは簡単に紹介しますが、詳細は【詳細解説】治安マップの用途地域 で解説しています。

第一種低層住居専用地域:静かでゆったりとした環境
便利さよりも環境重視の方に向いている地域です。

第二種低層住居専用地域:閑静な環境と、多少の利便性がある
静かで穏やかな雰囲気がありながら、少しの店舗もある地域です。

第一種中高層住居専用地域:ある程度の静かな環境、生活の利便性がある
低層戸建がメインの地域に比べると人通りが多くはなりますが、ある程度の静かな環境と利便性が両方ある地域です。

第二種中高層住居専用地域:中規模の商業施設が可能で、生活利便性が高い
マンションなどの中高層住宅を建てるための地域で、かつ、利便性を求める人が多く集まりやすい地域だからか、スーパーに行っても、お惣菜や冷凍食品が充実した商品展開になっていることが多い印象です。

第一種住居地域:利便性を重視できる
住居の環境を保護するための地域ではありますが、閑静な住宅街というより、利便性重視の地域です。

第二種住居地域:にぎやかな街
用途地域の定義が「主として住宅の環境を保護するため定める地域」なので、一定の住環境は守られる地域ではあります。
ですが、静かな環境よりも、遊べる環境に住むことを重視する方に向いているでしょう。

準住居地域:車移動がメインの方におすすめの地域
住居の環境の保護とともに、自動車関連の利便も図る地域なので、車移動がメインの方に向いているでしょう。

近隣商業地域:利便性と娯楽性を求めることができる地域
近くの住民が日用品の買い物などをするための地域なので、利便性重視の方におすすめしやすい地域です。

商業地域:にぎわいのある地域
にぎわいを生み出す地域なので、騒々しくなりがちな地域ですが、まちなかでの暮らしを求めている方にはおすすめできます。
風俗施設の建築も認められいます。

※「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」は割愛します。

追記:大阪府内の他市の犯罪マップ

2024年1月1日~12月31日の犯罪発生場所マップで、堺市と大阪市のを比較してみましょう。

まずは堺市の中心部の犯罪発生場所マップです。

続いて、大阪市の犯罪発生場所マップは、繁華街の難波・心斎橋、オフィス街の北浜・淀屋橋を含む、住宅地としても人気の北区・西区・中央区・阿倍野区・天王寺区、城東区のエリアです。

この図は、堺市と同じ縮尺なのですが、犯罪発生マークの数が急増しています。

他の犯罪マークで埋もれて見えにくいですが、堺のマップでは0件だった路上強盗(黄色)も、1件だけだったひったくり(紫色)もあります。

このあたりは、近年、マンションが増加し、子どももたくさん住んでいる地域です。
人によって価値観はそれぞれですが、子どもをこういう地域に住ませたくないなと思います。

ここから先は、かなりの偏見だと自覚しつつ、あえて文字にします。

同じマークでも、堺市と大阪市の犯罪の詳細を見ていくと、ちょっと雰囲気が異なります。

例えば、女性被害情報。
大阪市中心部では、盗撮、痴漢、つきまとい、という内容が多いです。

堺市ではこういった被害もありますが、「不審者情報」が多いです。
「写真を撮らせてくれ等と声を掛けられた」「露出している男性がいた」というような「不審者情報」です。
突然、知らない男に声を掛けられて、本当に怖かったことと思います。
堺市内では「不審者情報」として通報する方が多いということです。

ですが、大阪市のど真ん中で、知らない男から「写真を撮らせてくれ」等と声を掛けられても、逃げて終わりにしてしまって、警察に届けない人も多いのではないでしょうか。

実際に私は、大阪市内で、つきまといながら大きな声で卑猥な言葉を浴びせてくる男がいても、逃げて終わりにしたことがあります。

同じマークでも、被害の内容が違うので、単純に件数だけでは比較できません。

そう思うと、

「知らない男から声を掛けられたら、危険なことと判断して警察に言う」
「下半身を露出している男がいたら、警察に言う」

という行動を起こせる地域は、

「危険なことを容認しない、ゆるさない」ということでもあり、
「警察に言えば対処してくれる」という信頼感でもあり、

みんなで安全安心を守れる地域なんだと改めて感じました。