【写真:狭い道路の事例(※堺市ではありません)】
これは、土地を探している方に向けた話です。
土地を買おうとしているとき、必要な広さギリギリの土地を探す方が多いと思います。
なので、せっかく買った土地のうち、たとえ一部分でも使わせてもらえない部分が出てしまったら、困りますよね。
希望する床面積の家が建てられないかもしれません。
ですが、前面道路が狭いと、自分の土地を道路空間に提供しなければならず、使える土地が減ってしまう…というケースがあるのです。
また、道路が狭いと、容積率に制限が掛かり、延べ床面積にも制限が掛かる…というケースもあります。
道路が狭いと、不便というデメリットだけではなく、建てられる家の大きさにも影響があるので、前面道路が狭い幅の土地は、お安い価格になることが多いです。
広さの割におトクな価格の土地の情報をよくよく確認すると、前面道路の幅がとても狭い、なんてこともあります。
ということで、道路が狭いところには要注意!というテーマです。
さっそく、道路の幅がどれくらいなら注意しないといけないのかを見ていきましょう。
(今回の話は堺市だけに限らず、日本全体の話です)
要注意ポイント①
前面道路の幅員が4m未満
日本では、基本的に、「道路」は4m以上の幅が必要です。(建築基準法)
そして、
「敷地に接している道路幅員が4mよりも狭い場合は、道路の中心から両側の土地がそれぞれ後退して、道路幅員を4mにしていきましょう」
というルールがあります。
この後退することを「セットバック」とよびます。
つまり、前面道路の幅員が4m未満の土地に家を建てる場合、セットバックによって、せっかく購入した土地が道路空間になってしまって、
思っていた広さの家が建てられない!ということが起こり得るのです。
このような残念なケースにならないために、
前面道路が4m未満の土地には注意しなければなりません。
土地を探すときは、広さ、利便性等以外にも、
「道路幅員が4mより太いかどうか」をチェックし、
幅員4mより狭い場合は「セットバックしても残りの土地で希望の建物を建てられるか」、
をチェックしましょう。
要注意ポイント②
前面道路の幅員が12m未満
前面道路の幅員4m以上あれば大丈夫か?というと、さらに次の要注意ポイントです。
前面道路の幅員12m未満の土地です。
12m未満の幅員の道路が前面道路の土地は、容積率に制限がかかることがあります。
容積率は、もともと地域ごとに「指定容積率」が決められていますが、前面道路が12m未満の場合は、
「前面道路幅員×0.4(住居系)または0.6(その他)」
という前面道路の幅員を使った計算で出る容積率と、指定容積率を比べて、
「どちらか小さいほう」の容積率で建物を建てなければなりません。
要注意ってどう注意するの?
堺市内は、4m未満の道路も見かけますし、12m未満の道路は本当にたくさんあります。
土地を探して建物を建てる・・・という時、注意するのはこれです。
- その土地での最大の建築面積と延床面積で、希望の建物は建つか?
ネットの不動産情報で物件探しをする方がほとんどなので、つい見落としてしまったり、読んでもスルーしてしまう方がいるようです。
もちろん、契約するまでに不動産屋さんがセットバックや容積率を説明してくれるのですが、いい土地を見つけたら、ついつい、その土地での暮らしを想像したりしてしまいますよね。
せっかくイメージを膨らませていたのに、セットバックや容積率制限を知って、夢が萎むのは寂しいものです。
この土地はどうかな?と気になる時は、土地をその取り扱っている不動産屋さんに聞いてみましょう。
不動産屋さんが出している売土地情報の「建ぺい率」「容積率」「土地の面積」から、自分で計算することもできます。
ですが、不動産屋さんに相談したり確認する方が確実だと思います。
ここからは余談です。
道路幅員のルールの変遷が生んだ「道路の狭いエリア」
古い町は道路が狭い。新しい町は道路も広く、歩道もある。
だいたいそんなイメージだと思います。
現在の建築基準法は、1950年(昭和25年)に施行されたもので、1920年(大正9年)に施行された「市街地建築物法」を引き継いで施行されました。
1920年(大正9年)施行の法では、道路幅員は9尺(2.7m)と定められていました。
その後、1938年(昭和13年)に法が改訂され、道路幅員は4mに定められることとなりました。
そして、現在も道路幅員は4mとされています。
1938年より前に開発された町では、道路幅員は2.7mでOKだったので、4mに満たない道路が作られたのです。
堺には、1938年より前にできた道がたくさんあります。
そういう古い道が残るエリアでは、道幅を広げるような整備されていなければ、「セットバックしないといけない!」「容積率制限が掛かってしまう!」という土地があるのです。