堺市には、92校の小学校があります。
(このうち、大泉学園とさつきの学園は小中一貫校です)
小学校は、できれば評判の良いところに通わせたいと考えておられる方も多いかと思います。
人気の小学校区を選ぶことは、子どものいない人にとっても資産価値の面から重要だとも言われています。
不動産のニーズが高いので、地価が下がりにくいからです。
堺市で昔から人気の小学校は、
学校の学力レベルや、地域の利便性(通勤・通学に便利なエリア)などで総合的に人気なのが三国ヶ丘小学校や榎小学校で、
他には、金岡小学校、上野芝小学校、浜寺昭和小学校も人気があります。
学力では、泉北ニュータウン内の小学校が安定しているように感じます。
市の中心部では、熊野小学校(ゆやしょうがっこう)も人気ですよね。
また、市小学校や英彰小学校は、小学校単体では人気だけど、そのまま公立中学校へ進学することを考えるとマイナスポイントがある(中学校で一緒になる他の小学校の評判がイマイチ)、という話もあります。
堺区の熊野(ゆや)小学校の正門前の道
(Googleストリートビューより)
このページは、「堺市内で校区を選ぶときに参考にしていただけたら」と書こうとしたのですが、何度も何度も書き直したものの、いろいろ心配が残るページです。
なぜなら、普通は避けるような話、露骨な話を盛り込まざるを得なかったからです。
表現が適切でないところがあるでしょうし、偏見や差別的に伝わるのでは、という心配も消えません。
ですが、「評判の良い小学校に通わせたい」という親心がある以上は、ちょっと露骨な話になっても致し方ない、と考えました。
内容に気を悪くされる方もいるかもしれませんし、私自身、書いていて気分の良いものではありませんでしたが、ご容赦いただけたらと思います。
できるだけ、「ここは評判がいい」「ここは評判が良くない」という評価を書くだけにならないよう心がけました。
子どもさんの性格や、その家庭での教育方針に合う学校を選ぶ参考になれば、という思いがあるからです。
そのため、あくまでも「選び方」「考え方」を書くだけにした面もあります。
「こういう学校なら●●小学校」という答えは、なかなか出せるものではありません。
なぜなら、先生も異動があり、学校は常に変化し続けるからです。
ですが、街の環境や、住民層などから「場所や地域で雰囲気がなんとなく違うかな」ということがたくさん出てきます。
その「なんとなくの違い」が重なって、校風の違いになっているとも考えています。
少し遠回りな書き方になってるかもしれませんが、参考にしていただけると幸いです。
※別ページの「堺市で子育てにおすすめのエリア」では、児童数の多い小学校区、少ない小学校区を載せています。よろしければこちらもご参考になさってください。このリンクは、当ページの下部にも貼っています。
※ほかに、堺市内を小学校区別のエリアに分け、どういう層の住民が多いか、特徴を書いたページ「どんな人が住んでいるかランキング ○○なエリアTOP10、△△なエリアTOP10」もあります。こちらのリンクも、当ページの下部にも貼っています。
★「堺市で小学校区を選ぶ時に考えたいこと」の目次と本文はこのまま下をご覧ください
人気の小学校区とは
堺市は、子育てしやすい街の上位ラインクインの市ということもあって(参考:堺市の住みやすさ・住み心地)、こういう問題は起きていないかと思いますが、、、
尼崎市が、あまり良ろしくない状態をメディアで取り上げられてたのでご紹介します。
教育レベルが良くないイメージを持たれがちな尼崎市では、小学校は他の市で通わせようと尼崎市から出て行く人が多いそうで、
「通勤などに便利だからと20代で転入しても、子どもが生まれると小学校入学前までに転出してしまう。市民の転出入を年齢別にデータ化すると、それは一目瞭然」
と記事になっていました(2022.11.11神戸新聞)
小学校選びは、人口にも影響する程、多くの方が重視していることがよく分かります。
人気の小学校区とは、一般的に次のような特徴があると言われています。
- 教育レベルが高い
- 文教エリアにある(周辺に文教施設がある)
そこで、堺市における「人気の小学校区」を考える上で、
人気が出る特徴である「教育レベルが高い」ということ、「周辺に文教施設がある」という2つを見ていきたいと思います。
人気が出る特徴❶ 教育レベルの高さを考える
(参考:「生まれた環境」による学力差を縮小できない〈教育格差社会〉日本 )
教育レベルの高いエリアを選ぶために
教育レベルが高い学校では、学習する習慣を持つ子どもが多いということは、私も知っていました。
「出身家庭の社会経済的地位(通称:SES)が高いほど、教育達成に有利」ということがはっきりと調査で出ているとのこと。
社会経済的地位(SES)とは、
「親の所得や学歴、職業など、経済的、文化的、社会的な要素を統合したもの」
で、このSESが高いほど、子どもの教育に有利な条件と言えるのだそうです。
※あくまでも数字上の話です。個々の家庭を見れば、親の学歴が高くなくても、子どもの学力が高い家庭はたくさんいます。
教育レベルの高いエリアを選ぶには、ひとことで言うと「保護者の学歴が高いエリアを選ぶ」のも一つの方法だということのようです。
以下【 】は抜粋です。
小さい文字の部分は、詳しく知りたい方だけ読んでください。
【学校の両親大卒割合は学校平均学力、親が小4の子に大学進学を期待する割合、通塾率、習い事参加割合、それに、学習とメディア(テレビ・ゲームなど)に使う時間の学校平均など様々な「この学校の(児童たちの)特徴」と関連がある。
すなわち、親の学歴が高い地域にある公立小学校では、平均的な学力が高く、親の大半が小4の子に対して大学進学することを明確に期待し、児童の半数ぐらいは小4で通塾し、同級生はみんな何かしらの習い事をし、学校外学習時間は長く、メディア消費時間は短い。これは両親大卒割合で代理的に示される学校SESによって、学校ごとに「ふつうの小学校生活」のイメージが大きく異なっていることを意味する。】
習い事をするのは普通か、本を読むのは普通か、大学に行くのは普通か、昼酒は普通か、パチンコや賭け事は普通か…行く学校によって、「普通」の基準が違う、ということです。
堺市内における「教育レベルの高いエリア」を考える
さきほど、
【教育レベルの高いエリアを選ぶには、ひとことで言うと「保護者の学歴が高いエリアを選ぶ」のも一つの方法】
と書きました。
保護者の学力レベルは、当然ながら外からは分かりません。
学力レベルは分かりませんが、傾向を見る材料はありそうです。
材料とは、「どんなエリアか」「どんな住宅が多いか」というものです。
例えば、分譲住宅が中心のエリアは、
「分譲住宅を購入する人」=「安定的な収入がある人」「定住志向がある人(そのエリアで住み続けたい人)」
が多いエリアです。
つまり、分譲住宅が中心のエリアは
- 定職を持ち、ローンの審査に通る額での安定収入がある人
( コツコツとローンを返す生活力がある人) - 定住する以上、多少は近所付き合いをするつもりがある人
(ある程度のコミュニケーション能力がある人、地域のマナーを守る人)
そういう人たちが多いエリアです。
こういうエリアであれば、おそらく、一定の学力レベルを持った方が多い傾向があると想像できます。(あくまでも傾向です)
また、もし学歴や学力レベルが高くなくても、おそらく誠実に生きている方が多いと想像できます。
それがさらに、駅から少し離れた、住環境の良いエリアであれば、先ほどの傾向に加え、「便利さよりもゆったりした環境を重視したい」という人が多い傾向のエリアになるでしょう。
こういった分譲住宅が多いエリアを見る時は、当サイトであれば「治安マップ」に載せている地図、または、「堺市内 駅ごとの治安、住みやすさ・住み心地」からご覧いただける駅別のページに載せている地図が参考なるかと思います。
緑色系(青緑~黄緑)のエリアが分譲住宅が多い傾向にあります。
(あくまでも傾向です。一部、分譲住宅ではなく団地が並んでいるところもあります。)
一方、大きな駅の周辺の便利なところ(「治安マップ」でピンク系のところ)では、賃貸住宅が多くなります。
駅前の住民層は、賃貸に住む人、分譲住宅(駅前なので高い)に住む人など、郊外の住宅地よりも「多様性」があるのを感じます。
例えば、堺東駅や堺駅、中百舌鳥駅の近くの分譲住宅は、高い収入でないと買えません。
おそらくですが、そういった収入の高い家庭の子どもは、高学歴な保護者のもとで育つ層が多い傾向があると思われます。
また、堺東駅や堺駅近くでは、周辺の繁華街で働いている人も多く住んでいます。
夕方からの仕事をされている人など、子どもと時間的にすれ違うので、コミュニケーションが十分にとれていなさそうな家庭が郊外と比べて多いという話を聞いたことが有ります。
そういうことを並べていくと、
市の中心部の人気の小学校でありながら、何度か耳にしてきた「学力は二極化しているらしい」という話も、
「あながち単なる噂話ではないのかも」という気がしてきます。
次は、【周辺に「文教施設」があること】についてです。
人気が出る特徴❷ 周辺に「文教施設」があることを考える
周辺に大卒が多い地域と、そうでない地域では、子どもが進路を考える時に参考となるロールモデルが異なるそうです。
大卒が多い地域の子どもは、当然のように大学進学を選択肢として持つことができ、自分の希望や条件に合うものを選びますが、周囲に大学に行った人が少ないと、「大学進学はそもそも選択肢の中に入らない」という子どもが多くなる傾向があるとのこと。
早い年齢で就職することが良くないと言っているのではありません。
やりたいことが明確だったり、早くから働くことを希望しているのであれば良いと思います。
ただ、子ども本人が「進学する道」を考えたことないままに就職の道に進むことを考えると、周囲にロールモデルがいることの重要性を感じます。
堺市には、名の通った大学では、大阪公立大学(旧:大阪府立大学)が中百舌鳥・白鷺エリアにあります。
中百舌鳥・白鷺ではかなり頻繁に学生を見かけ、「大学生」がとても身近な存在です。
子どもたちにとっては、「高校を卒業したら、大学生になる」という意識は自然と芽生えるでしょう。
また、「進学校」と呼ばれる高校では、堺東に三国ヶ丘高校と泉陽高校が、鳳から少しいったところに鳳高校があります。
鳳高校の周辺はあまり行かないのでよく分かりませんが、
堺東のファーストフード店やカフェでは、わいわいと勉強をする三国ヶ丘高校の生徒や泉陽高校の生徒を見かけます。
話に耳を澄ますと、どの大学、どの学科を目指すのかなど、進学の話をしていることもあります。
こういう風景がある環境で育つと、学ぶということ、将来を考えることを身近に感じる経験を積み重ねていくでしょう。
そういう意味でも、周辺に文教施設があることは、子どもが自分のロールモデルを見つけていく上で、とても重要なことだと感じます。
堺市内の文教施設(文化施設、教育施設、スポーツ施設)では、学校・大学の他、
すべての区に、図書館、文化会館(ホール、カルチャーセンター)があります。
また、スポーツ施設や、博物館、ギャラリーもあります。
改めて堺市内の人気の小学校区を振りかえると
長々と回りくどくなりましたが(直接的な表現はできるだけ避けました)、改めて堺市内で人気と言われる小学校を振り返ると、当てはまることが多いと思います。
いくつかのパターンはあるかと思いますが、
堺に住んできて感じる地域性のようなことが、先ほどまで述べた内容とつながっているように思います。
街並みや住民さんから感じる空気感や雰囲気を言葉にするのはとても難しいですが、小学校区が人気のエリアは、空気感も雰囲気も良いところが多いように感じます。
冒頭で書いた小学校区は、エリアとして繋がっているところも多いです。
三国ヶ丘小学校区と榎小学校区は、隣の校区です。
駅で言うと堺東駅・三国ヶ丘駅・堺市駅の周辺のエリアで、地価は高いですが、堺市内でも特に人気のエリアです。
府内でも指折りの進学校である三国ヶ丘高校の近くのエリアです。
熊野小学校区、市小学校区、英彰小学校区も隣り合った校区です。
駅で言うと堺駅と堺東駅の周辺で、市役所や国の行政機関もある、堺市内の中心とも言えるエリアです。
泉北ニュータウンには、昔から学力レベルが高い学校が多いと聞いています。
これは私の勝手な推測ですが、住民層によるものかなと思っています。
泉北ニュータウンは、駅前以外は便利とは言いがたいエリアが多いです。
アップダウンがあるので、自転車だと辛いのでバスを利用して通勤する人もたくさんいらっしゃいます。
泉北ニュータウンに住むのは、「環境を重視して」という人が多いと思いますが、
多少の時間は掛かっても忍耐強く取り組める人が多く、そういう家庭で育つ子どもが多いエリアだということが理由かなと感じています。
金岡小学校、上野芝小学校、浜寺昭和小学校については、場所はバラバラですが、
上野芝小学校と浜寺昭和小学校区は、堺市内では昔から邸宅が多いエリアであり、邸宅に住まわれる家庭ですから、お稽古ごとも含めて、「教育レベル」が高い家庭で育つ子どもが多い小学校なのだろうと思います。
とは言え、やっぱり「多様性」は大切
「教育レベル」が高い家庭の子どもが集まりやすいエリアで過ごすと、その子ども自身も「教育レベル」が高い大人になる可能性がより高まるだろうと思います。
ただ、私個人は、小学校・中学校は、色んな家庭環境、色んな価値観の中に身を置くことも重要だと思います。
色んな家族の形があり、保護者の仕事も色々で、勉強することを大切にする家庭もあれば、そうでない家庭もある。そういう違いを目の当たりにすることで、「自分の家の方針」や「保護者の願い」を認識し、「自分は自分」としていくことも大切かなあと感じます。
それでも、「教育レベル」の高い家庭の友達からの影響は大きいと思うので、答えは出ませんが、色々な意味で、学区選びは大切なひとつだと思っています。
余談:なぜ学区が大切だと思うか…私の育ちと学力レベル
「親の学歴・学力レベルが子どもの学力レベルに影響する」ということは、大人になるまで全く意識したことはありませんでした。
私の両親は二人とも、育った家庭環境が原因で進学を諦めており、大学を出ていません。両親のうち一人は高校を出ていませんので、学歴としては中卒です。
両親は頑張って働いていましたが、経済的な余裕はありませんでした。
ですので、子どもの教育費は、家計の大きな部分を占めていたと思います。
私は幸運にも、大学進学を選択肢に持つことができました。
そして、経済面を考えて、自宅から通える国立大学を目指し、合格・卒業することができました。
(地方の小さな大学ですが)
ちなみに、私が通った小学校はかなり多様性があり、清潔感が無く明らかに「ふつう」の生活ができていない子(しかもアザがある日が多い)もいるけど、親に塾の送迎をしてもらいながら中学受験を目指す子がいたり(地元の公立中学は評判が悪かった)、という学校でした。
親の職業も、サラリーマン、経営者、教師、公務員、夜職、職人、と様々でした。
私はそのまま地元の公立中学校に進学しましたが、私にとっての「普通」が、他の中学校の「普通」ではなかったと実感したのは高校に進学したときでした。
同じような成績の生徒が集められているのに、同じ市の子であっても、小学校・中学校での学校生活や習慣は違うということを知ったのです。
色んな家庭環境の子どもが持つ、色んな価値観の中で過ごした小中学校は、私にとって重要な経験だったことは間違いありません。
ですが、大人になって南区の赤坂台小学校の校区を歩き、木漏れ日の緑道や緑地帯、ゆったりとした道路や家々、小学校を見た時に、
「こういう環境で育っていたら、どんな自分になっていただろう」
と、思ったことがあります。
今よりも、もっと大らかで穏やかで、自分に自信を持って頑張る心も持てたんじゃないかな、という気持ちも湧きました。
どんな学校に行くのが良かったのかは、大人になっても答えが出るわけではありません。
子ども本人が、環境による影響を感じることも少ないでしょう。
ですが、環境による影響は確実にあると思うので、少しでも良い環境を求めることは当然のことかなと感じています。